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1.動物の歯について
2.歯石について
3.破折について
4.歯のスケーリング1
5.歯のスケーリング2
■歯のスケーリング■

□ 日頃から動物の歯をチェックしましょう □
私達人間と同じように、飼っている動物にも歯磨きの習慣をつけておくと、いつまでも綺麗な歯が保たれ、歯周病の予防にもなります。そうは言っても大人しく磨かせてくれる子は少ないようです。仔犬、仔猫の時から少しずつ口の中を触るのに慣らせていけば、歯磨きもしやすいでしょう。体質や年齢、いろいろな要因がありますが、若くても歯石が着きやすい子もいます。一旦歯石がついてしまうと簡単には取れなくなってしまいます。分厚く着いた歯石により、さまざまな歯周病を引き起こします。重大な病気に繋がる可能性もありますので、日頃から口の中をよく観察しておくことが大切です。歯石はスケーラーで取りますが、専門の訓練を受けた獣医師でないと、歯や歯肉を傷つけてしまい逆効果の場合があります。
今回は、この歯石を取るスケーリングをご紹介しましょう。モデルはミニチュアダックス、6歳の子です。
□ スケーリングの前に □
まず、口蓋レントゲンを撮影します。目で見える場所以外にも異常が無いか、レントゲンで詳しく調べます。
次に血液検査をします。これはスケーリングとは言え、全身麻酔を施すためです。
当院では、麻酔はガスによる麻酔を使用しています。通常、動物用には「イソフルラン」というガスを使用しますが、当院では人間用のガスと同じ「セボフルラン」を使用しています。価格は高くなりますが、イソフルランよりも
1、麻酔が覚めるのが早い
2、肝臓への蓄積が少ない
というメリットがあります。結果、動物達の身体への負担が少ないのです。
もちろん、術中も常に数名のスタッフが血中酸素濃度、心拍数、脈拍、呼吸数、心電図、体温などをこまめにチェックしています。
左が超音波スケーラーです。文字通り超音波の振動を利用したスケーラーです。これで全体的に歯石を取り除いた後、手作業によりスケーリングでより細かい部分まできっちり歯石を取り除きます。もちろんどちらも高度な技術が必要で、手作業でのスケーリングが出来ない人は超音波スケーラーを使用しても、歯や歯肉を傷つけてしまいます。いかに便利な機械があっても、基本の手での作業が大切なのです。
右は歯科ユニットです。さまざまな器具を使って、歯の治療をします。
□ スケーリング □
それではスケーリング作業に入りましょう。麻酔の後、身体や口を固定し、安定させた後、作業に入ります。この子は全体に歯石が着いています。特に奥歯は茶色い歯石が厚く付着しています。歯石が着いている歯は歯肉炎を起こしている場合が多く、歯と歯茎の境目に赤い炎症が見えます。
驚かれるかもしれませんが、スケーリングが終了するときには、赤かった歯茎が綺麗なピンク色に戻っているのです。それほど歯石は歯肉への負担が大きいのです。
茶色く着いた歯石が超音波スケーラーによってはがれ落ちていきます。
私達人間が超音波スケーラーで歯石を取るのと同じ方法です。全ての歯をくまなく綺麗にしていきます。
超音波スケーラーで全体の歯石を取った後、歯垢に反応する薬品で、歯の全体を染色します。一旦洗い流して、色が残っている場所はまだ歯石が着いている場所です(この画像では青い染料を使っていますが、ほとんど残っていません)。
ここからは手作業でスケーリングをしていきます。手で行うことにより、かすかな感触で歯面のザラつきが分かります。細かい所の隅々まで、滑らかにしていきます。
次はポリッシング(研磨)です。研磨剤を歯全体につけたあと、専用の器具で磨いていきます。これにより、歯についた色素も綺麗に落ち、また表面を磨くことで歯石が再び着きにくい状態にします。
最後に消毒薬で洗浄します。炎症を起こしていた歯肉も綺麗な色に戻っています。
全ての作業が終了したら、麻酔を切り、覚醒させます。ある程度麻酔が覚めたら、入院室に移動し、ゆっくりと落ち着かせます。
こんなに綺麗になりました。茶色かった歯も真っ白ピカピカです。幸い、この子は歯石以外に歯や歯肉の異常は見られませんでした。飼い主さんにお返しする時には、抗生剤を処方します。1週間から10日ほどしたら、再度来院してもらって歯の状態を診ます。この綺麗な歯の状態を維持するために、当院では歯磨き指導もしています。まずは口の検診からお気軽にご相談下さい。